日々の業務の中で、業務内容によっては勤務先でない外部へ出張に行くことはないでしょうか。
出張をすることを「旅行する」と言い、旅行した際は実際にかかった交通費などの費用が “旅費” という名称で支給されます。
今回は、旅費の交通費を算出するための考え方である “最も経済的な通常の経路及び方法” について解説していきたいと思います。
なお、この解説は国家公務員が順守する旅費法や、地方公務員の順守する旅費条例等に基づいて考察されています。
最も経済的な通常の経路とは
まず、”通常の経路” とは、「ある区間を旅行(=出張)する場合に、社会一般の者が通常利用する経路」をいいます。
そして、”最も経済的な” とは、「一番費用がかからない」という意味となります。
そのため、”最も経済的な通常の経路” とは、「社会一般の者が通常使用する経路が複数ある場合に、その経路の中で一番費用が安い経路」のことをいいます。
最も経済的な通常の方法とは
“最も経済的な方法”とは、「旅行するのに支障がない範囲で、通し切符や往復割引乗車券などを利用して一番費用が安く済む方法を用いる」ことをいいます。
ここで注意する点としては、”最も経済的な方法” は経路に関してだけを言っているのではない。という点です。
経路だけでなく「旅費として費用が安くなる方法があれば用いなさい」という考えのため、例えば交通費としての運賃は安いが所要時間がかかる交通手段を用いて旅行した場合は旅行先近辺に前泊しないといけない時などは、余計に宿泊費がかかってしまい、合計の旅費の金額で考えると高くなってしまう。
そのような場合は、合計での旅費金額が安くなるから、運賃の高い交通手段でもいいから利用しなさいとなります。
総合的に考えるとどういうこと?
この考え方が、少し難しいです。
というのも、”通常の経路” というのが人それぞれの考え方によるため、人によって正解が変わってきます。
ここでは旅行経路や方法を選定する際の考え方の一例を会話形式で説明していきます。
最も経済的な通常の経路?方法?
聞きなれないですね。日本語なのにすごく理解に苦しみます。
簡単に言うと、目的地に向かうにあたって「一般的に考えて普通はこのルートで行くよね。」という旅行経路を選定して、いくつか経路が思い浮かんだら、その中で結果的に費用が一番安くなる方法で行きなさい。ということだよ。
例えばどのようにしたら良いんですか?笑
例えば、大阪⇒名古屋間を旅行する場合は、普通は新幹線や電車などの鉄道を利用するか高速バスを利用するのが一般的であって、船や飛行機を利用することはあまりないよね。
僕もプライベートでその区間を旅行するとなったら、やっぱり鉄道かバスで行くと思います。
その二つが両方とも一般的に考えられる経路(=通常の経路)となるんだ、そしてその中から “経済的な経路” はどちらかを考える必要があるんだ。
じゃあ、経路の選択という観点から、一般的に利用される経路としてA経路とB経路があった場合に、費用としてはA経路のほうが安いんだけど、B経路のほうが移動における所要時間が早い場合はどちらを選べば良いですか?
B経路のほうが早いから、そちらを選ぶほうが合理的かなとも思うんですが。。。
例)A経路:800円,50分 B経路:900円,45分
その場合は、最も経済的な経路と方法を選ぶという考えからA経路を選ぶほうが妥当かな。
ただ、”通常の経路” という部分に “合理的” という考えが含まれてはいるんだけど、ある意味 “経済的” という考え方のほうが強いんだよ。
だから、極端に言ってしまうと、少し合理的でなくてもなるべく安い経路で旅行してねという性質になっているんだ。
そして、よく見ると “経済的な方法” という考えもあるんだけど、それは往復切符とかで安くなるならそれを利用してねということだよ。
しかし、ただ単に経路としての交通費を比較して安い方を選ぶだけでなく、経路の選択によって旅行日数の増減した場合の宿泊代などの費用も考えて、つまりトータルで旅費が安くなる方法を考えるってことなんだ。
<交通手段> バスの場合:交通費+宿泊費、 鉄道の場合:交通費のみ
じゃあ、色々な事情があって、もともとA経路で行く予定だったけど、会議の開始時間が早くなっちゃって運賃が高いけど少し早く現地に到着できるB経路で行かないと会議に間に合わないときはどうすればいいんですか。。。それでも安くですか???
用務上の必要性や天災やその他の理由で、最も経済的な通常の経路や方法がとれなかった場合は、現によった費用(=実際にかかった費用)で旅費を支給できるよ。
ただ、新幹線を使える場合は距離などの制限が決められているから、新幹線の特急料金分が支給されないこともあるから気を付けてね。
用務上の必要とは例えばどんなことを言うんですか?
では、天災などの理由というのは、雪が降ったり台風とかで電車が止まった場合とかですか?
他にもその他の理由というのが、交通機関で事故が発生して遅延したり、旅行する人が怪我や病気になったことで交通機関を使用できない場合なども入ってくるよ。
でも安くすることを考えるあまり、ちょっと違和感があるルートをとったり、遠回りなどはしなくて良いよ。
あくまで一般的に考えられる経路の中から選べばいいわけだからね。
あ、一つ大事なことを言い忘れてた。旅行の経路と通勤経路が重複していたら、減額しないといけないよ。
通勤手当を支給されている場合は定期券を持ってることが多いんだけど、その持っている定期券の通勤経路の一部分を旅行した場合は、持っている定期券の区間の交通費は必然的に安くなっちゃうよね。だからその部分は旅費として貰っちゃいけないんだ。
だから旅行するときは、通勤経路もチェックするのを忘れずにね。
分かりました!今教えてもらったことを考慮して、旅行経路と手段をもう一度考えてみます!
当初考えていた経路が一番経済的だと思っていたけど、実は勘違いで旅行後に他の経路に安いものがあったことに気付いた、又は指摘されたら教えてね。
まとめ
旅費は、公務員が守るべきルールである法律や条例は当然そうですが、他にも様々な会社の就業規則に「旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する」という文言でよく記載されています。
“最も経済的な通常の経路及び方法” というのは、かみ砕いて言うと「一般的に考えて良く利用される旅行経路を選定して、いくつか経路が思い浮かんだ場合は、その中で結果的に費用が一番安くなる方法を選ぶ」ということになります。
“一般的に考えて” というのは、あなたがプライベートでそこに行くと想像したときに選ぶ経路なら大体正解だと思います。
またその手助けとなるのが、地図アプリや乗り換えアプリ等から検索された結果の経路であり、その経路は基本的には問題ないことが多いと思います。