公務員の給与に関して知っておくべき用語を説明をしていきたいと思います。
今回は、“人事委員会勧告” について、公務員であるなら知っておくべき内容です。
当内容は、地方公務員法と国家公務員法を基に考察されています。
人事委員会とは何か?
人事委員会は、一般職に属する地方公務員が順守すべき法律である「地方公務員法」に基づき設置の義務化がされている組織のことです。
= 参考:地方公務員法 第5条(人事委員会及び公平委員会並びに職員に関する条例の制定) =
主な業務としては、専門的・中立的な立場から職員の給与その他の勤務条件について、社会一般の情勢に適応させるよう、各自治体の議会及び首長に対して勧告・報告を行っています。
人事委員会は都道府県及び政令指定都市等に設置されており、それ以外の自治体は「公平委員会」などの組織にて同等の業務を行っています。
<人事委員会と公平委員会のどちらを設置する?>
人事委員会と公平委員会のどちらを設置するかは自治体の人口により決まっています。
人口15万未満の自治体は公平委員会を設置する必要があり、人口15万以上の場合は人事委員会か公平委員会のどちらかを設置する必要があります。
= 参考:地方公務員法 第7条(人事委員会又は公平委員会の設置) =
対して、国家公務員において同等の役割を担う組織は、「国家公務員法」に基づき設置されている「人事院」というものになります。
勧告ってどういう意味?
まず、勧告の意味はどのようなものでしょうか。
・一定の事項について、相手方に一定の措置をとることをすすめ、または促す行為。
・勧告とは、相手方がその内容を自発的に受入れることを前提とするものであって、相手方を拘束する力までもつものではない。
= 引用元:勧告の意味 ~コトバンクより~
上記の説明より、「勧告」とは人事委員会が首長や議会に対して職員の給与その他の勤務条件に関して勧め促すこと。
という意味にとれます。(イメージ的には、多少の強制力がある助言という感じでしょうか。)
あくまで促す行為であるため、首長や議会は当該勧告を拒否することも可能となります。(実際に拒否した事例は過去を振り返っても少ないようですが。)
良く見る「人事委員会勧告」というのは「人事委員会が首長や議会に対して行う勧告」を意味します。
また、単に「人事委員会勧告」という言葉だけで使われる場合は、給与制度に関する勧告である「給与勧告」を指すことが多いです。
人事委員会勧告はいつ行われるの?
基本的には、人事委員会勧告は毎年10月頃に行われるのが通例となっています。
勧告に関する全体の流れとしては、以下になります。
- 【~8月】民間における給与実態の調査を実施
- 【~10月】調査結果を基に給料等に関して、勧告内容を検討(公務員の適正な給与水準を算定)
- 【10月】検討結果を基に首長、議会に対して人事委員会勧告を実施
- 【~12月】首長は、報告及び勧告を検討し給与条例改正案を作成
- 【12月】議会は給与条例改正案を審議、議決
※主なスケジュールのため、当該予定にそぐわない自治体や年度もあるかと思います。
令和2年度においては、通例では毎年8月に行われている人事院勧告が新型コロナウイルスの影響で10月と例年より勧告が遅くなったため、それにつられてか人事委員会勧告も例年より若干遅く(10月末)行われました。
つまり、人事委員会とは専門的な知識を有した、あくまで中立の立場(公務員と民間事業者において等)の組織であり、地方公務員とその他民間との格差をなくすという任務を遂行するために様々な助言を首長や議会に対して行っている。
ということですね。