公務員の手当・制度

公務員における地域手当について解説

地域手当

 

公務員の方で、自身の給与詳細を知らなかった人が多かったため、公務員のための給与関係の解説をしていきたいと思います。

 

何を隠そう私も良く分かってませんでした。

 

今回は、“地域手当” についてです。

 

なお、この解説は国家公務員が順守する人事院規則や各自治体の地方公務員が順守する条例等に基づいて考察されています。

 

そもそも地域手当とは?

地域手当は、民間における賃金、物価及び生計費に関する事情に考慮して支給される手当で、地域給の一種となります。

 

名目としては、公務員給与にい地域の民間賃金水準をより的確に反映させる目的で、地域格差の事情等に応じて定められています。

 

Aさん
Aさん
つまり、勤めている地域によって物価や生活費が違ってくるため、例えば都市部の物価が高い場所ではその差の部分を “地域手当” として支給して生活しやすくする手当のことだよ。

 

過去には地域手当は “調整手当” という名称で支給されていました。

 

いくらくらい貰えるの?計算方法は?

給料月額給料の特別調整額扶養手当)×支給割合
(※支給割合は各自治体により異なります。)
<用語の説明>
・給料月額:給与のうち基本給のこと。
・給料の特別調整額:管理職(役職が課長以上)がもらえる手当のこと。
※ “給料の特別調整額” は “管理職手当” ともいいます
・扶養手当:扶養親族がいる場合に貰える加算のこと。

 

この式を見るとわかりますが、 “支給割合” によって貰える金額が変わってきます。

Aさん
Aさん
そして、この “支給割合” は自治体によって異なり、その差は物価の高さに比例して高くなるよ。

 

自治体ごとの地域手当の支給割合の違い

その差は物価の高さに比例するといいましたが、働く場所(=主な支給地域)と支給割合をまとめた表が以下になります。

出典:国家公務員の諸手当の概要

 

この表は国家公務員の働く場所における支給割合を示しています。

なので、この表に入っていない地域の地方公務員の場合でも地域手当は支給されています。

 

例えば、東京都特別区(東京都23区)以外でも支給されており、武蔵野市:12%、多摩市:16%、八王子市:15%という感じで支給割合が決まっています。

Aさん
Aさん
地域手当の計算式に当てはめれば分かりますが、支給割合が上がれば支給金額も上がりますので貰える金額が高くなるよ。

 

地域手当の支給モデル(東京都の場合)

例えば、東京都の給与モデルで例えると、月々貰える地域手当の支給金額は以下のように変わってきます。

 

25歳係員(独身)の場合

基本給:184,100円、給料の特別調整額:0円、扶養手当=0円

地域手当の支給額:184,100円×0.2=36,820円

 

35歳課長代理(既婚)の場合

基本給:307,300円、給料の特別調整額:0円、扶養手当=13,500円

地域手当の支給額:(307,300円+15,000円)×0.2=64,160円

 

45歳本庁課長(既婚)の場合

基本給:415,900円、給料の特別調整額:92,600円、扶養手当=13,500円

地域手当の支給額:(415,900円+92,600円+13,500円)×0.2=104,400円

 

50歳本庁部長(既婚)の場合

基本給:508,900円、給料の特別調整額:128,600円、扶養手当=13,500円

地域手当の支給額:(508,900円+128,600円+13,500円)×0.2=130,200円

 

Aさん
Aさん
上をみると課長や部長は基本給が多いのはもとより、給料の特別調整額(管理職手当)も計算に入るため、地域手当の支給額もそれに応じて高くなるよ。

 

地域手当が変わると影響する他の手当

以下の手当は算出する際に、地域手当分を加算して計算します。

 

 超過勤務手当
 休日給
 夜勤手当
 期末手当
 勤勉手当

 

上記について、例えば “超過勤務手当” を算出するときは、「給料一時間当たりの単価×1.25」などの計算をして金額を算出しますが、その “給料一時間当たりの単価” に地域手当分を加算してよいということです。

 

例えば、上記モデルでの35歳課長代理の場合は、ざっくり計算で考えると地域手当を含めない場合の単価が2,500円であり、地域手当を含める場合の単価は2,600円となります。

 

月に30時間残業した場合は、75,000円と78,000円なので、3,000円分の金額差があります。これを年間にすると超過勤務手当だけで36,000円となりますので結構大きいですよね。

 

他にも上で言った他の手当にも支給金額の算出する計算に含まれています。

 

他手当も全て含めて年間を通して計算すると、地域手当があるのとないのとで約100万円ほど違ってきたりします。

計算の内訳・年間の給料として64,160円×12=769,920円
・月に30時間残業した場合の差額3,000円×12=36,000円
・期末手当/勤勉手当として約4.2か月分を支給すると考えると
64,160円×4.2=269,472円全てを合計すると 1,075,392円 となります。

 

Aさん
Aさん
つまり加算する手当も多いので、もはや基本給の一部として考えても良いと思います。

 

しかし例外として、公務員の医師に関しては、一般の事務・技術職種等と事情が異なるため、勤務地に応じて地域手当が変わることがありません。

 

これは、民間の医師における給与が、都市部に勤務する医師より地方に勤務する医師の方が高くなっているためである。

 

そのため医師は勤務地にかかわらず一律15%の地域手当を支給することになっています。

 

よくある疑問

 Question

地域手当の支給地域及び区分はどのようなルールによって決まっている?

 Answer

民間の賃金水準に応じて決定しているよ。つまり、その地域の民間企業の賃金に合った公務員の給与になるように支給割合を決定しているよ。

 

 Question

神奈川県に住んでいるが東京都の役所に勤めている職員の場合は、地域手当20%が支給されるもの?

 Answer

地域手当は働いている場所に応じて支給されるものだから、20%が支給されるよ。住んでいる場所は関係ないよ。

 

 Question

地域手当は何の計算に影響するの?手当として住居手当や児童手当や超過勤務手当を受給しているが、それらの支給金額に影響する?

 Answer

超過勤務手当には地域手当の支給金額の計算に影響してくるが、住居手当や児童手当にはなにも影響しないよ。

 

 Question

月の途中で離職(公務員を退職)した場合でも、その月は全額分支給されるの?

 Answer

月の途中に離職したら、日割り計算されて支給になるよ。
他に離職以外でも、月の途中で「採用」や「支給割合の異なる地域への異動」「昇格若しくは昇給」「休職」「派遣」「育児休業の終了」「停職」等があったときには日割り計算で支給されるよ。
ただ、月の途中において死亡した場合は、給料の支給と同様に地域手当も全額支給されるよ。

 

 Question

育児休業で、基本給が減った場合は、地域手当も減額されるの?

 Answer

地域手当も減額されるよ。

 

まとめ

地域手当は物価の高い安いに応じて支給される手当で、もはや基本給の一部のようなものです。

過去を振り返ってみると、例えば東京などでは過去は18%だったりしていたのが今は20%になっていて支給割合が昔より高くなっています。

それは民間企業の賃金との兼ね合いでどんどん上がってきましたが、不況等などで民間賃金の増減した場合は、地域手当の支給割合も今後変動する可能性はありそうです。